リフトから見るニセコユナイテッドの歴史



索道

セル1 セル2

1961年、比羅夫スキー場の開業

いまは、5つのスキー場があるニセコの中で、最初に開業したのは、ひらふ国際スキー場でした。

1961年に、第1、第2リフトが開業。2つを合わせた距離は1,070mに及び、当時日本一の長さだったといいます。

当時ニセコにはリフトに詳しい者などおらず、完成したリフトは鉱山用の索道を改造したもので、秒速1メートルの速度でした。

当時一般的だったリフトは秒速1.6メートルだったので、実に3分の1という遅さでした。また、搬器には背もたれがなく、ただの板だったので、かなり怖かったようです。

第1、第2リフト架設位置(Googleマップ航空写真を加工)

 


1970年代 ニセコの基礎が形作られた時代

時代は1970年代、第1次スキーブームでどこもスキー場は大混雑の時代でした。

このころは、毎年のようにリフトが増設され、現在のゲレンデの形ができあがったのもこのころです。

まず、最初のコース拡張は1965年のアルペン第1リフト、1967年のアルペン第2リフト、高原第3リフトの架設でした。第1リフトの架設により、アルペンコースと、フリコ沢コース(現在のスーパーコース)、が新設されました。

次にリフトが新設されたのは、1970年、高原第4リフトです。このリフトは、いまのゴンドラ乗り場付近から、見晴コースの終わりあたりまで架設され、それまで現在のキング第1リフト乗り場の位置までしかなかったのが、現在のゴンドラ山麓駅付近までコースが延伸されました。おそらく、ゴンドラ坂の道路が新設され、高原側に駐車場ができたことにより、そちらからの連絡用として架設されたのだと思います。

それにより、望洋コースが新設されました。

しかし、まだこの頃にはまだ1000m平原までリフトで登ることはできませんでした。

1000m平原まで登れるようになったのは、1971年のことです。現在のエース第3リフトの位置にアルペン第3リフトが新設され、1000mヒュッテ(現在のエースヒル)までリフトで登れるようになりました。

また、高原1B、2B線が新設され、輸送力が大幅に向上しました。

高原側から1000m台地に登れるようになったのは、1972年のことです。この年、今でいうスインギングモンキーの位置にリフトが架設され、いままでハイクアップで登っていた場所までリフトにいけるようになったのです。

そして、翌1973年に高原第5リフトが架設され、ファミリーコース(現在のエースコース)や、ナショナルコース(現在の見晴、粉雪コース)へのアクセスも向上しました。

また、この年、ニセコアンヌプリ国際スキー場、ニセコワイススキー場が新設。今のニセコユナイテッドの種火が形成された時代です。

1961 高原第1リフトA線架設 560m  
  高原第2リフトA線架設 560m  
1965 アルペン第1リフトA線架設 850m  
1967 高原第3リフト架設 555m 東京索道
1970 高原第4リフト架設 800m 東京索道
1971 高原第2リフトB線架設 500m  
  アルペン第3リフトA線架設 800m 安全索道
1972 高原第6リフトA線架設 900m  
1973 高原第5リフト架設 1000m 東京索道
  高原第4リフトB架設 800m 東京索道
  ワイス第1・第2・第3リフト架設 ------

安全索道?

1976 アルペン第1リフトB線架設 850m  
1977 アルペン第2リフトB線架設 830m 安全索道
1978 高原第4B架設、高原第4ペアリフト化    

1980年代 バブルとともに一気に近代化

いまのニセコの山頂は、ニセコアンヌプリ山頂の直下にありますが、70年代の最後まで行っても、その位置までのリフトは見当たりません。ニセコの山頂まで行けるようになったのはいつなのでしょうか。

1980年代は、好景気のためか大量の高規格リフトが架設されました。また、この頃に架設されたリフトはその後も長く使われ、今現在でも稼働している物も多くあります。今のニセコが完成したのが、この80年代でした。

1981年には、アルペン第1C線(今のエース第1ペア)が架設。

1982年には、ニセコ東山スキー場がゴンドラを交えて開業。同スキー場のダウンヒル第3A・B線の架設により、ようやくアンヌプリ峰の山頂へと上がれるようになったというわけです。

1983年は、激動の年となり、高原第6B線(後のキング第3)、アルペン第1D線(後のエースファミリーペア)、アルペン第3B線(現エース第3ペア)などが架設されました。そして、この年、高原第7リフト(現キング第4)が架設されました。

このリフトの架設により、ようやくニセコアンヌプリの山頂までひらふから行けるようになったというわけです。

そして、翌1984年、ひらふにゴンドラが架設されました。その名も「高原ゴンドラ」。また、この年、アルペン第4リフトが架設され、アルペン側からも山頂へと登れるようになりました。

そして、1985年、この年はひらふに2基のデタッチャブルリフトが架設されました。その名も「センターフォー」に「高原トリプル」この年には今のひらふの形がほぼ出来上がったと言ってもいいでしょう。

また、この年にはニセコアンヌプリ国際に、今も残るアンヌプリゴンドラもかかりました。

そして、1989年、東急の手によって花園エリアが開業。大幅にスケールアップしました。

1980 ワイス第4・第5リフト新設    
1981 アルペン第1リフトC線架設

626m

安全索道

1982  高原第6リフトB架設 991m 東京索道
  東山ゴンドラ架設 2032m 太平索道
  東山第1ロマンス・ダウンヒル第3A・B線架設   太平索道
1983 高原第7リフト架設 526m 東京索道
  アルペン第1C線架設 626m 安全索道
  高原第1リフトA・B線を架替え、ペアリフトになる。 581m 東京索道
  アルペン第3リフトB線架設 881m 安全索道
  東山ダウンヒル第2ロマンス架設 1015m 太平索道
1984 ヒラフゴンドラ架設 1878m 日本ケーブル
  アルペン第4架設 722m 安全索道
 

東山ダウンヒル第1・ファミリーロマンス架設

  太平索道
1985

センターフォー架設

1719m

安全索道

 

高原トリプル架設

1186m

東京索道

 

アンヌプリゴンドラ架設

2273m

日本ケーブル

1988

高原第2架設

1138m

東京索道

 

モイワクワッド・第1ペア架設

 

日本ケーブル

 

アンヌプリにジャンボ第2ペア架設

 

日本ケーブル

1989

花園第1クワッド架設

1628

日本ケーブル

 

花園第2クワッド架設

742 日本ケーブル
 

花園第3クワッド架設

1101 日本ケーブル

不変の時代を経て、激動の2010年代へ

時は1992年、ニセコアンヌプリ国際スキー場にもデタッチャブルリフトが架設されました。その名も、「ジャンボ第1クワッド」。それまでひらふに比べ設備的に少し遅れていたアンヌプリも、足並みを揃えました。

 

1993年には、7年ぶりにゴンドラが新設。東山に「プリンスゴンドラ」が登場しました。

次にリフトが新設されたのは、2年の時を隔て、1995年プリンスペアリフト架設、そして、1997年、ジャンボ第3ペア架替え、1999年、ジャンボ第4ペア架替え...その後は、老朽化したシングルリフトの撤去が行われるだけで、リフトの架替えや新設はありませんでした。しかし、2005年、久しぶりのリフト架替えです。その名も「ノーネームリフト」。リフト名は公募で決めるという変わった試みでした。その後、このリフトは「スインギングモンキー」という一風変わった名前になりました。

次は、2007年、高原第4リフトが大きく場所を変えリプレース。「ホリデー第1ペア」が架設されました。

そして、2011年。

この年には、実に18年ぶりとなる、ゴンドラリフトの架設が行われました。「ヒラフゴンドラ」です。

狭くて古い、時代遅れな高原ゴンドラを掛け変えようという試み。これにより、8人乗りとなり、輸送力も大幅にアップグレードされました。

そして、2016年には、23年ぶりにデタッチャブルリフトの新設、「キング第3クワッド」が架設されました。老朽化した3人乗りフード付きリフトがメインゲレンデの唯一の移動手段であるのはさすがにまずいという訳でしょうか。

そして、2017年には、エースファミリークワッド、コンビリフトのビレッジエクスプレスなどが架設、2021年には花園エリアに6人乗りフード付きクワッドと10人乗りゴンドラが新設される事となりました。

このようにいきなりリフトが大量に架設される2010年代にはいったい何があったのでしょうか。

それは、インバウンド客の大幅な増加です。

「JAPOW」を合言葉に、海外から多くのスキーヤーが流入してきて、外資も流入。それにより、スキー場の財政が豊かになった事、新たな需要を取り込みたいこと、また、新型のリフトに囲まれている海外の人たちがリフトの架替えを強く望んでいることなどが理由でしょう。

しかし、新型コロナウイルスの流行で、インバウンドの先行きも雲行きが怪しくなってきました。

HANAZONOリゾートは、旧ワイススキー場にリフトを新設して復活させようとしているようですが、これから先どうなるのでしょうか。

1992 ジャンボ第1クワッド新設 日本ケーブル
 1993  ニセコゴンドラ新設 安全索道
1995 プリンスペア新設 安全索道
1997 ジャンボ第3リフト架替え 日本ケーブル
1999 ジャンボ第4リフト架替え 日本ケーブル
2005 スウィンギングモンキー架設 日本ケーブル
2007 ホリデー第1ペア架設 日本ケーブル
2011 ヒラフゴンドラ架替え 日本ケーブル
2016 キング第3クワッド架替え、ドリーム第1クワッド架設 日本ケーブル
2017 エースファミリークワッド架設 日本ケーブル
2022 花園に新ゴンドラ架設 樫山/Leitner
  花園第1クワッド架替え、6人乗りに 樫山/Leitner

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